温室効果ガスの分光学:励起状態ダイナミクス

[温室効果の分子論的・分光学的視点からの理解]

温室効果の基礎は量子力学あるいは量子化学です。少し分子論的な視点でエネルギーの流れを追って見ましょう。

まず初めに太陽から電磁波としてエネルギーが地球に降り注がれます。太陽放射に含まれる電磁波の主成分は可視光です。地表に降り注がれた可視光は、光熱変換*によって地表を暖めています。地表に降り注がれた可視光は地表の物質を電子励起することができます。電子励起された地表の物質は、主に無放射緩和過程によって基底状態へ戻ります。励起状態から基底状態へ戻るときに、振動緩和などによりエネルギーの再分配が行われます。この再分配されたエネルギーは熱平衡によりボルツマン分布をとり、主に赤外線となって地表から放出されます(実際は、伝導や対流、潜熱輸送なども非常に重要と考えられていますが、ここでは放射以外のエネルギーのやり取りを無視して考えています)。

* 光熱変換の身近な例としては、虫眼鏡などで紙の黒く塗られた部分に太陽光を集光し、紙を燃やす実験などで、感覚的に理解することができると思います。

大気に赤外活性分子(温室効果ガス)がない場合は、直接、地表から宇宙へ放射が行われます。赤外活性分子がない場合は、この放射冷却によって地表の平均温度は−18℃ぐらいになるといわれています*。しかし、地球には水蒸気や二酸化炭素などの温室効果ガスがあるために、地球放射は大気中の赤外活性分子に吸収されます。ここで赤外線によって励起されるのは分子の振動や回転状態です。

* これは真空中の地球を想定し、放射平衡を仮定することにより見積もられた値。大気がある場合は、地表から大気への伝導などが起こるため、放射平衡だけで温度を決定することはできない。

地表放射を吸収し振動励起した分子は、大気中の99%を占める窒素や酸素などの赤外不活性分子の衝突により消光されます。これは振動励起の自然放射の寿命がミリ秒と比較的長いために[1]、一気圧の大気下における分子との衝突頻度の時定数の方が140ピコ秒と圧倒的な速さで衝突するため[2]、放射過程以外にも無放射緩和過程による失活チャンネルが重要になるものと考えられます。ここで無放射緩和過程のメカニズムとしては、分子衝突によるエネルギー移動などによって、振動励起分子のエネルギーが他の分子の運動エネルギーとして分配されるといったことが考えられます。

[1] 振動子強度が小さいほど自然放射の寿命は長い。アインシュタインのA係数による見積もりでは、電子遷移が〜10-8s、振動遷移が〜10-3s、回転遷移が〜1s程度が目安となる。輝線強度

[2] 衝突頻度 = 1/(7×109) ≒ 140ps Maxwell の気体分子運動論を振り返る, 分子の光吸収と光放出

地表放射を吸収した分子の大部分は無放射緩和過程を経て失活するため、地表とのエネルギーのやり取りは主に分子衝突によって行われます。この大気と地表とのエネルギーのやり取りにおいて、「再放射」*によって行われているという説明もよくなされているものと思います。確かに、宇宙への射出は放射しか行えませんが、地表付近では放射よりも分子衝突などによって大気から地表へエネルギーのやり取りが行われます。つまり、地表とのエネルギーのやり取りに関する限り、再放射という言葉は便宜上の表現であり、科学的な説明としては明らかな間違いです。

* 再放射過程については、「On the Phenomenon of Atmospheric Backradiation, Heinz Thieme 」などのサイトも参考になります。

分子論的な視点からするとエネルギー移動の形態はさらに細分化して表されます(たとえば、振動励起状態の放射以外の緩和過程には、分子内および分子間における振動、回転、並進モードへのエネルギー移動や、共鳴エネルギー移動などがあります)。放射過程は数ある緩和過程の中でも局所熱平衡にある常圧下においては非常にマイナーな過程なので、「再放射」という表現は放射過程をあまりにも過大評価した名称です。実際は、無放射緩和過程の方が主要な失活チャンネルとして働いているものと考えられます。

温室効果ガスによる温暖化とは、温室効果ガスの増加に伴い大気の光学的厚さが増加し、宇宙への射出を行う大気の高度が変化し、放射平衡のポイントがずれることで対流圏の昇温がもたらされる現象と一般には理解されています*。放射平衡のポイントが決まれば、あとは断熱減率によって大気の安定度を保ちながら、大気温度の鉛直分布が規定されます。温度勾配は温室効果ガスだけでは決まらず、重力によって規定される大気圧と、水蒸気による潜熱輸送や対流などによる廃熱の循環のメカニズムが重要となってきます。とくに水蒸気や対流などによる廃熱システムは、地球のエントロピーを宇宙へ捨てる重要なメカニズムを担っているため、大気汚染や水循環に悪影響を与える人間活動は、重大な環境破壊となります[3]。

* 実際の大気上層における射出による放射冷却は、光学的厚さよりも、大気密度(気圧)あるいは分子衝突速度に支配されていると考えられます(超高層大気の冷却)。高層大気では、大気密度が非常に薄いため、分子衝突は頻繁に起こらず、振動励起分子や回転励起分子は放射により励起エネルギーを失いやすい状況にあります。また、放射によりエネルギーを失ったCO2は、衝突励起により新たにエネルギーを得ているものと考えられます。気圧に変化がなければ[*]、分子衝突速度はCO2の増加に対してほとんど影響を受けることはありません。一方、高層大気におけるCO2の増加は放射冷却を行う分子の増加を意味します。つまり、CO2の増加は大気上層における放射冷却の強化にこそなりますが、宇宙へ向け放射を行うCO2分子の高度に変化はほとんど起こらないと考えられます[*]。

[*] 太陽放射中の紫外線などによって暖められた成層圏などの高層大気の気圧が変化することで、放射冷却や対流圏の気象条件に影響を及ぼす可能性はあるのかもしれません。

[3] 大気温度はどのように決まるか


[振動励起の緩和過程]

放射の自然寿命は吸収断面積から見積もることができます。例えば、CO2の代表的な吸収ピーク15μmの吸収断面積は、20.2m2/molとなっています(The Climate Catastrophe - A Spectroscopic Artifact? )。そこから、自然放射の寿命は以下の式で与えられます(振動子強度と吸収断面積の関係)。

τr = (109 / 4)× (1.5 λ02 / σ) ==1.5×109×(15×10-6)2/(4×20.2) = 0.0042

この吸収断面積から見積もられた自然放射の寿命(τr)は、約4ミリ秒となりました。これは振動励起の振動子強度が非常に小さいために、電子励起による自然放射の寿命と比べて長寿命となっています(輝線強度)。一方、1気圧下における衝突頻度は約140psとなっています(Maxwell の気体分子運動論を振り返る)。

大気の高度が上がるにつれ、宇宙への外向きの長波放射が行われるようになります。これは光学的厚さが約1付近となる高度といわれています。温室効果ガスの増加はこの光学的厚さを増加させ、宇宙へ向けた外向きの長波放射を行う高度に変化をもたらすことで生じるとされています。そのため、温室効果ガスが増加すると、対流圏では気温が上昇する一方で、成層圏では放射冷却が強まるといわれています(超高層大気の冷却)。

振動励起した分子は、大気中の99%を占める赤外不活性分子の衝突により消光されてしまいます。ここで、放射による量子収率(Φr )を見積もってみましょう。量子収率は各緩和過程の速度定数によって決定することが出来ます。

Φr = kr / (kr + knr)

kr  : 自然放射の速度定数

 knr : 無放射緩和の速度定数

ためしに、一気圧下の衝突頻度を無放射緩和速度と仮定すると、放射の量子収率は以下の式で求められます。

Φr = (4×10-3)-1 / ( (4×10-3)-1 + 7×109 ) ≒ 3.6×10-8

この値は放射の量子収率の下限値に相当します(実際は、一回の衝突で失活するとは限らない)。『非平衡状態と緩和過程 』(化学総説 No.5、p40)によると、CO2とH2の衝突によるCO2の緩和時間は一気圧で10ns程度の時定数になるようです1*。この値を無放射緩和速度と仮定すると、放射の量子収率は次のようになります。

Φr = (4×10-3)-1 / ( (4×10-3)-1 + 1×108 ) ≒ 2.5 × 10-6

さらに、無放射速度を10μsと仮定しても、放射の量子収率は、2.5 × 10-3 となります。これは、光子を吸収した分子の中で再放射を行う分子の割合が、1000個中、3個にも満たないということを示しています。この値が上限値に近いとすれば、放射の量子収率は、およそ、10-6〜10-3の範囲のオーダーに収まるのではないかと考えられます。いずれにせよ、地表付近では、振動励起分子の放射過程は非常にマイナーな過程であることがわかります2*

また、赤外活性分子は局所熱平衡によって振動や回転準位に、ある一定の割合でエネルギーが分配されています。これは衝突励起によるものです。この衝突励起および地球放射の吸収により励起された赤外活性分子の地表付近における緩和過程は主に無放射緩和過程によるものと考えられます。

1* 化学総説に掲載された図(2.22)から読み取った値。さらに詳細な緩和過程を考慮するには、ファインマン・ダイアグラムを用いる必要があるようです。

2* 常圧下における赤外発光強度は非常に微弱であり、しかも、空気中に含まれる赤外活性分子も非常に微量です(参考:How radiation is released - Joshua Halpern)。そのため、赤外発光を観測するには、高感度な検出システムが必要です。たとえば、分子衝突による消光過程を抑えるために低圧条件下にするために低温脱気を用いて赤外化学発光の観測を行う制限緩和法(arrested relaxation; ref. [1], [2] )などがジョン・ポラニー(John C. Polanyi)らにより編み出されています(p270 『 化学動力学 』佐藤伸訳)。ちなみに、ポラニーは「化学反応素過程の動力学的研究」によって1986年にノーベル化学賞を受賞しています。

[各緩和時間に対する見積もり]

各モードに対する緩和時間については、次の文献などを参考にしていただきたい。

Photoacoustic and Photothermal Laser Spectroscopy Applied to Trace Gas Detection and Molecular Dynamics, Irio Giuseppe Calasso, Diss. ETH No.12925 (1998)

Table 2.1. Estimated relaxation times for small molecules in the gas phase at 300K, 1 atm pressure from Flygare (Flygare [1968]). T denotes translation, R rotation, and V vibration.

Process

Relaxation time  [s]

T-T

10-9

R-T

10-8

R-R

10-10

V-R

10-5

V-V

10-8

V-T

10-5

Molecular relaxation, W. H. Flygare, Accounts of chemical research, 1, 121-127(1968)


[分子運動の量子化]

分子運動には、振動、回転、並進運動があります。これら分子の運動も微視的に見れば量子化されており、離散化した運動状態しかとることが出来ません。飛び飛びの運動状態しかとることができないため、その状態間のエネルギー準位に相当する電磁波を吸収したり、放射することが出来ます。つまり、電磁波を吸収したり、放射を行うためには離散化したエネルギー準位が必要です。赤外活性分子はこのような離散化したエネルギー準位をもつのが特徴です。

並進運動は分子から比べれば無限に広い空間を自由に運動をしているため、そのエネルギー準位は限りなく小さくなり、連続した運動として観測されます。並進運動しか自由度をもたない分子は振動や回転の吸収帯に相当する電磁波に対して、吸収も放射もできません。そのような分子を赤外不活性と呼びます( 厳密には赤外不活性分子も禁制遷移がほどけるような摂動が加われば、振動準位などに励起されることもあります)。

赤外活性分子のように内部自由度が多いほど比熱も大きくなります。たとえば、水は温まりにくく、冷めにくい性質があります。これはそれだけ内部自由度を多く持ち、強い赤外活性分子であることの証拠ともいえます。つまり比熱は離散化したエネルギー準位をどれだけとることができるかによって決定することができます。

しかし、極低温下において分子の運動エネルギーが励起状態のエネルギー準位に満たない場合は比熱も小さくなり、温室効果ガスも赤外不活性分子と同じ比熱の値を示すようになります。特に固体における低温下における比熱の挙動は、古典力学では説明することが出来ませんでした(低温下におけるデュロン・プティの法則の破綻)。初期量子力学はこのような低温下における比熱の挙動を説明する過程で飛躍的な発展を遂げることになりました。

各量子状態の割合はボルツマン分布を用いて見積もることが出来ます。ここで、288Kにおける15μmの振動励起状態の割合を見積もって見ますと、以下のようにあらわされます。

Exp(-E / kT) = Exp(-hc / λkT) ≒ 0.036

h = 6.626068 × 10-34 m2 kg / s

c = 299792458 m/s

k = 1.3806503 × 10-23 m2 kg s-2 K-1

λ = 15×10-6m

これは288Kにおいて、波長15μmの振動準位に励起した分子が約3.6%の割合で常に存在しているということになります。実際は大気中にある分子全てが振動励起できるわけではないので、振動励起できる分子の割合を考慮する必要があります。たとえば、大気中に含まれるCO2を400ppmとすると、15μmの赤外吸収に相当する振動励起したCO2の割合は次のようになります。

(0.04%) × (3.6%) = 1.44 × 10-5

これは窒素や酸素を含めた全大気分子において、10万個あたり、一個か二個程度のCO2が衝突励起により振動励起状態にあるということです。これが局所熱平衡による衝突励起により生じるCO2の振動励起分子の割合です。局所熱平衡が成り立っている条件ならば、各量子準位はボルツマン分布にしたがって分配されています。


[CO2分子の赤外吸収における吸収率の見積もり]

CO2分子の15μmにおけるピーク波長(Q-branch)の光学密度は、100kmの層までの平均濃度(1.03×10-3 mol/m3 )を仮定すると次のようにして求められます。

20.2 m2/mol × 1.03×10-3 mol/m3 × 105 m = 2080.6

ここから、吸収率は、100×(1-10-2080)%と表されます(The Climate Catastrophe - A Spectroscopic Artifact? )。この吸収率は99.9999…%と、小数点以下、9が2078個ほど続くことになります。この結果から、CO2分子のピーク波長における吸収は飽和状態にあることが分かります。

一方、地表から10mまでの層において、CO2の大気組成を400ppmと仮定したときの光学密度は次式で表されます(1気圧22.4Lと仮定)。

20.2 m2/mol × (400× 10-6) / (22.4×10-3 m3/mol)  × 10 m = 3.607

すると、吸収率は約99.98%となります(= 100 × (1 - 10-3.607 ) )。地表10mでCO2のピーク波長の吸収は、すでにほぼ飽和状態にあることが分かります*

* 下層大気におけるCO2による赤外吸収が飽和していなければ、そこから、さらなるCO2の増加は、地表からの放射冷却を防ぐことによる昇温効果はあると考えられます(ただし、その昇温効果は一般に思われているよりも非常に小さいようです。参考: Woodの実験温室効果(greenhouse effect) )。一方、下層大気におけるCO2の赤外吸収が飽和しているのならば、そこから、さらなるCO2の増加は大気上層における放射冷却のみを強化する可能性が高いのではないかと思います。その場合、通説とは異なり、CO2の増加は温暖化に対してネガティブ・フィードバックとして働いているということを意味しています。このネガティブ・フィードバックを考慮したCO2の増加による正味の効果について定かではありません。しかし、放射平衡モデルによる鉛直大気の温度分布は重力的な安定性をまったく無視したものになることは確かなことです(参考:大気温度はどのように決まるか )。

化学平衡におけるルシャトリエの原理のようなものが、大気システムにおいても何らかの形で働いている可能性は十分にあると思います。たとえば、水蒸気などは、対流、潜熱輸送、雲の形成により、温暖化に対して緩衝作用が働き、外部の撹乱因子の影響を平滑化する作用があると考えられます。海洋がもつ膨大な比熱も、昼夜の大気温の変化などを穏やかにする働きがあるものと考えられます。大気上層における放射冷却は地球に入射されたエネルギーのアウトプットの一躍を担っており*、その詳細なメカニズムの解明は非常に重要であると考えられます(*: もう一つは地表から直接、宇宙へ向けて大気の窓を通じて行われる放射冷却)。


[吸収の重なりの問題]

CO2による温暖化モデルの創始者である真鍋淑郎氏の1967年の論文(Syukuro Manabe et al., Journal of the Atomspheric Science, 24(3), 241(1967))にはこういう言葉があります(Table 6の上あたりの文章です)。

『Although our method of estimating the effect of overlapping between the 15-μ band of CO2 and the rotation bando of water vapor is rather crude, we believe that the general conclusions which have been obtained here on the atomsphere with afixed relative humidity should not be altered by this inaccuracy.』

真鍋氏は吸収の重なりの見積もりに荒い部分があるが、大丈夫だと信じていたようです。しかし、この吸収の重なりについても無視できる問題とは簡単には言えないようです。たとえば、Jack Barretによって吸収の重なりにおける問題点が指摘されています(Jack Barrett, Energy & Environment, Vol. 16, No. 6, 1037(2005) )。

赤外分光の専門家からもCO2による温暖化を過大評価しているのではないかという声が上がっています。たとえば、Heinz Hugは今の二酸化炭素の放射強制力は80倍も過大評価しているのではないかと指摘しています。

『Laboratory measurements of the infrared absorption of carbon dioxide using an FT-IR spectrometre suggest that the radiative forcing for CO2 doubling must be much less than assumed by climate scientists until now. A reduction factor of 80 is likely.』 (The Climate Catastrophe - A Spectroscopic Artifact? )


[下層大気における振動励起分子は放射による脱励起の可能性はほとんどない]

Jack Barrettは、励起分子は下層大気において熱エネルギーに変換されているので、地表へ放射によってエネルギーを受け渡す可能性はほとんどないと指摘しています。

Grave Discrepancies Between Theory and Experiment by Jack Barrett

The received radiation is emitted by the surface but does not reach space on average for a good number of days as it goes through the transformations of the real atmosphere. It is all absorbed by the lowest 100 meters of the atmosphere and is largely (i.e. more than 99.9% - I got into trouble with Houghton, Shine and Braterman & Co., for saying that it was all transformed) transformed into thermal energy of the lower atmosphere. My other grave sin was to deny that excited molecules could emit radiation to return to their ground states. In the context of the paper I should have said that radiative return was highly unlikely at high gas pressures. I explained this in my reply to the Spectrochimica Acta journal.……The thermal energy of the lower atmosphere reaches the upper atmosphere by radiative transfer, thermal conduction, convection and by the release of energy when water vapour condenses. From the higher atmosphere radiative transfer becomes overwhelmingly predominant as the loss of energy to space can only take place radiatively. Until these physical processes are properly incorporated into models I will view such efforts with grave suspicion.


Comments on "SOLAR ACTIVITY:A DOMINANT FACTOR IN CLIMATE DYNAMICS"  

But Barrett calculates that excited CO2 molecules are very unlikely to return to their ground states by emitting photons. He calculates that the molecules will be returned to their ground states by collisions with other molecules. The air is dense near the Earth's surface and, therefore, air molecules are constantly colliding with one another. They exchange their vibrational and rotational energies when they collide. Not all the molecules of the atmosphere can absorb the radiation from the Earth's surface. For example nitrogen and oxygen cannot. Nitrogen is about 79% and oxygen is about 18% of the air, but CO2 is only about 0.035% of the air. So, when an excited CO2 molecule collides with a nitrogen or oxygen molecule it is likely to return to its ground state (i.e. to 'discharge') by giving energy to the nitrogen or oxygen molecule. This heats the nitrogen and oxygen molecules and they can convect and conduct that heat to the surface of the Earth to provide the 'greenhouse effect'.……

Thus, Barrett deduces that - near the Earth's surface - each CO2 molecule can absorb and discharge photons at a rate thousands of times faster than it could if it were only able to discharge radiatively. Hence, Barrett calculates that almost all the IR radiation from the Earth's surface which can be absorbed by CO2 is absorbed in the lowest 100 m of the atmosphere. Thus, increasing the CO2 in the air cannot increase the 'greenhouse effect' because the CO2 is already making the largest contribution to the greenhouse effect that CO2 can make: the CO2 is absorbing all the IR with the wavelenghths that CO2 can absorb (ie. the CO2 absorbtion spectrum is saturated)."


Hug & Barrett versus IPCC by Heinz Hug and Jack Barrett

As the radiative transport equation has no term related to spontaneous re-emission (contrary to the authors conviction), the emitted energy must stem from kinetic (thermal!) energy by which the layer temperature is defined. Btw, the radiative transport equation has no mechanism to force the emitted energy to be equal to the absorbed energy (i.e. to fulfill the local thermal equilibrium LTE). IPCC thus may violate the LTE condition if the temp profile is not preset adequately.


Errors in IPCC climate science » Blog Archive » Greenhouse molecules, their spectra and function in the atmosphere

 In my opinion, and in those of many climate sceptics, such results represent an exaggeration of the phenomenon and that a doubling of carbon dioxide should produce about 1 degree C rise in atmospheric temperature. One of the main positive feedbacks used by the IPCC to obtain their results is that of the spectroscopic effect of additional water vapour resulting from the rise of temperature following an increase in CO2. They seem not to allow for the extra water vapour contributing to greater cloud coverage, which is a negative feedback effect dependent upon the non-spectroscopic properties of water. Until such effects are properly incorporated into GCMs their results will not be acceptable to climate sceptics.


[天頂大気の各温室効果ガスによる赤外スペクトル]

 http://www.sundogpublishing.com/fig7-6.pdf

( http://www.sundogpublishing.com/AtmosRadFigs.html 経由)


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